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暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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オーシャンズ12

オーシャンズ12_b0046687_2231623.jpg

この作品は「オーシャンズ11」とは全く別の作品に仕上がった。一応、冒頭辺りに「オーシャンズ11」を引っ張ったシーンがあるが、これが全く無くてもこの映画は成立するし、更に、前作を冷やかしている箇所がたくさんあり、それは中々「シャレ」に富んだ作品に仕上がっている。オープニングにいきなり、今回参加の「新顔」を出しているところも、制作側の意図が明らかである。

「オーシャンズ11」はそれなりの実績を収めた。しかも今回はこの成功作のメンバー、所謂、オーシャンと11人の仲間が、誰一人欠けることなくスタートしたことだけでも大きな拍手を贈りたい。今までの感覚だとやはり成功した前作に引きずられてしまうものであるが、ハリウッドの風雲児、スティーブン・ソダーバーグにこの方程式はまったく通用せず、受け入れられないことがはっきりしていた。新しい意思表示てであり、この心意気は高く評価できる。

又、前作は前代未聞の「カジノ破り」でその計画から実行、結果を周到かつ詳細に描いていたが、今作品は、そういう細部に拘らず、いわば「芸術的」な仕上がりをみせている。ひとつひとつの仕掛けに「ウラ」の「ウラ」を作りながら、一方で観客に謎解きをする間をいれず、次のアイテムを出してくるという繋がりは、まるで「マジック」でも見せられている様な早いテンポで、視聴者を引っ張っていくスピード感がある。そして、トリックのオチは、流石に全くといって良いほど、筆者には予測がつかなかった。しかし、それと引き換えの様に、ラストは殆どの人が映画の前半から「こうなる」と予測されるものが立て続けにふたつ程続く。そのバランスと、観客との「駈け引き」が絶妙で、やはり、前述した様に高度なマジックを連続してみているようで、スクリーンと観客の間に、不思議な呼吸の一体感が生まれるところがすごい。

しかし、ひとつだけ残念なのが、この作品制作の「ウラ」の部分が結構オモテに出てしまったということ。ジュリア・ロバーツとキャサリン・ゼタ=ジョーンズを取り巻く確執で、ジュリアが突然、実名になったり、タイトルバックの気の使い方など・・・。ラストによれば、キャサ・ゼタはもしかしたら次回作で仲間になれそうだが、そうなったら今度は我儘なジュリアが下りるから、「オーシャンズ13」というタイトルは殆ど可能性が無く、「オーシャンズ12パート2」になってしまうのではないかという余計な心配をさせられる作品であった。

そして、そう願いたい(ジュリアが下りるということでなく、キャサ・ゼタが加わって欲しいということ)ほど、この作品で一番輝いていたのは、キャサ・ゼタである。「ターミナル」の時もとてもキュートさを感じ、それまでの彼女とは違う新しい魅力をたくさん放っていたが、今作はそれ以上。優しさと、艶やかさに磨きがかかってきた。一方心配なのは、ジュリア・ロバーツで、オスカー受賞作「エリンブロコビッチ」を頂点に、演技にも女優としても余りパッとしない。産休だけでなく、暫く充電した方が良いと思う。もうひとり、ヴァンサン・カッセルは見事だった。特にレーザー光線のシーンは、この作品の中でも必見のシーンである。もし次回作があるとすれば、この展開なら必ず絡んで来るキャラなので、是非とも期待をしたい。

ハリウッドの常識を打開したい。ソダーバーグのそんな心意気が随所に現れた、前作とは全く違う、そして前作よりもずっと高い評価を下すことのできる作品である。


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by turtoone | 2005-01-23 23:15 | 映画(あ行)