暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

チェンジリング

b0046687_0441461.jpg

「コリンズ事件」というのはお恥ずかしながら知らなかったが、「ゴードン・ノースコット事件」は、以前にアメリカの犯罪史の研究をしていた時に、どこかで出くわした事があった。但し、文献は英文だったし、内容に関しても「養鶏場を営むノースコットが連続殺人を犯し、死体を証拠隠滅のために生石灰で処分した」という当時としては異常性だけに着目し、この作品に描かれた、「クリスティン・コリンズに起きた悲劇」に関しては全く無視してしまったために、この事件を知らなかったのである。単位欲しさの適当やっつけレポートを書いた自分の過去を悔いた。今回、イーストウッドによって作品化されなかったら、近距離まで接近していたのに知らずに終わってしまうところだったから感謝だが、実際にこの作品を鑑賞して、ここに介在する大きなテーマを見落としていたことにも気づかされ、流石にイーストウッドだと関心した。

1928年という年代は、最近何かと色々取り沙汰される1929年世界恐慌の前年である。映画史でいうと、前年1927年には世界最初のトーキー映画「ジャズ・シンガー」が公開された。この作品では、クリスティンが中心でどうしても人間を中心に観てしまうが、ロサンゼルスの町並みといい、クリスティンその他出演人物の衣装といい、年代の再現は大変見事なものであり、まずはその点は高く評価したい。世界恐慌の引き金になる直前でも、アメリカという国に既に世界一だったことがこの作品を通しても良くわかるし、結果論で言えば(この作品にも出てくるが)その後のアメリカ経済の復活のスピードというのはものすごい速さであったのが分かる。そういう時代考証がしっかり出来ている作品というのは安心して鑑賞できると同時に、実は、イーストウッド作品というのは、余り今までにこういう部分を大事にしてこなかった観がある。勿論、人間の尊厳という観点をとても大事にしている監督だから、そのための心理描写や、キャスティングも上手く、人間を描くことには大変長けている監督であることは何度も述べた。そういう意味では今まで唯一この監督作品に欠如していた物が加わったのだから、中々重いテーマである一方で、見ごたえのある作品に仕上がっていた。

更に言えば、その監督の期待に見事にアンジーが応えたといえよう。「ベンジャミン・バトン」でブラピと共に、主演賞に揃ってノミネートされ(受賞ぱできなかったが)、しかし、ふたりとも演技力もさることながら、その存在感という部分では大いに監督の期待にも、また、観客の期待にも応えてくれたと思う。以前から思うのだが、やはりアンジーはアクションモノではなく、こういう人間の深層に至る部分を演じることに徹した方が良いと思う。アクションはアクションしかできない俳優に任せて、こういう役を沢山こなして早く、トップオブトップの女優になって欲しいものだと思う。また、所謂、サスペンス的に見える内容であり、妙な期待や結末を予測させる展開もあるがも、実は軸は一本しっかりしていて、揺れやブレが殆ど無い。それどころか、この作品を脚色している様々な要因、前述の時代考証や美術に加えて、特に出演人物がそれぞれに存分に存在感を発揮していて、アンジーだけでなく、牧師のジョン・マルコビッチ、警部のジェフリー・ドノヴァン、ノースコット役のコルム・フィオールといい、それぞれが完成度の高いパフォーマンスを示したことは特筆すべき点である。欲を言えば、カメラワークがこれらの水準に無かったのかも知れないが、「羊たちの沈黙」の様に、カメラによる面白さを追求している作品ではないから、この点はこれ良いのかもしれない。筆者はすぐ余計な「欲」を作品に出してしまうからいけないと反省する。

法廷シーンも久々に良かった。特にふたつの裁判(というか一方は公聴会)が同時進行しているリアルさは事実がそうだったかもしれないがスクリーンでのシンクロは見事だった。ただ、その勢いで調子に乗りすぎた絞首刑シーンは不要だった。あそこでエモーショナル・ラインが途切れたことは事実で、その後にあのシーンを持ってくるのだから全く不要といっていい。細かい部分で注文をつけたくなるほど、全体に骨太作品だったから本当に惜しいと思う。

ただ、「割礼」はどうなのだろうか。習慣があるのはイスラム教徒とユダヤ人。どうみてもイスラムではないから、これも事実だとしても、ヤケに強調しすぎは作品が終わってからも気になった。


公式サイト


allcinema ONLINEの作品ページ
goo映画の作品ページ


よろしかったら、こちらにご協力を。映画のブログも検索できます。
人気blogランキング


音楽のブログを立ち上げました。
こちらにもお立ち寄りください。
「音楽は語るなかれ」


ついでながら姉妹ブログへもどうぞ
時事問題のブログ 「情報過多で悩むあなたに」
下町探索記 「東京の原景を探して」
ただの日記「turtoone主義」
[PR]
by turtoone | 2009-03-08 00:47 | 映画(た行)