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暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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ディファイアンス

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第二次世界大戦ナチス独裁によるドイツの侵攻を描いた作品に関しては、以前に「戦場のピアニスト」の至って短いレビューで書いた様に、同じ様なテーマなら「シンドラーのリスト」で最後にして欲しいと懇願した。「シンドラー~」は筆者の最高得点映画であり、後にも先にもこの作品を越えるものは筆者の中では出てこないと思うが、しかし、予告に「シンドラー」とか言われると本当かいなと観に行ってしまうところも筆者の弱い部分である。しかし、現に、「シンドラー」以降も、ドイツ国が自ら先の大戦の反省の上に製作した「ヒトラー 最期の12日間」や、別の側面からナチスドイツを描いた「ブラックブック」「善き人のためりソナタ」などの秀作が続いたので、しからばと、この作品も鑑賞優先順位が高かった。しかし、この作品、予告の「シンドラーはもう一人いた」(もっとシンドラーのような人は沢山いた、日本人にも居たという突っ込みは敢えてやめたが)は却って失敗で、シンドラーとは全く違うユダヤの生きる道を探した人(というか兄弟)であった。この作品、観方によっては大変填まるし、良い作品だとは思うが、兎に角「シンドラー」を期待したら全く裏切られる作品だ。

かくいう筆者も予告に惑わされ「シンドラー」を期待していたから、最初の30分で裏切られたが、幸い136分という少し長めの作品だったので建て直しの鑑賞が出来た。この作品の根底にあるものは、寧ろ「麦の穂をゆらす風」に近い。一番の見所は戦時下の生き方もあるが、両親を殺されたビエルスキ4兄弟の強靭な絆である。特に、リーダーとして色々な側面で悩む長兄のトゥビア(ダニエル・クレイグ)と事あることに意見が合わず別の道を歩む次男ズシュ。このふたりの兄を冷静に観察し、日一日と力強く逞しくなっていくアザエル。そしてまだ幼いが兄弟の血は争えず、悲しみの絶頂からいち早く立ち直り3人の兄を誇りに思うアローン。物語はこの4兄弟のそれぞれの葛藤を軸に置いて観た方がこの作品に限っては面白い。言い方は悪いが、戦争版「若草物語」である。なぜならそれ以外の部分は、ベラルーシの森で隠匿生活を続けていたという「新発見」だけで、過去の様々な映画作品で描かれてきた(しかももっとずっと鮮烈に・・・)ことの焼き直しでしかないからだ。ソ連軍の対応に関しても、最終的にはああなるだろうという予測が最初からついてしまうし、序盤は、結局自分たちが生きるためには殺戮も略奪も何でもやっていいんだという戦禍における狂った人間性を露呈しているだけで、途中から、ベラルーシの森での共同生活を始めるものの、序盤からの展開からとはギャップがありすぎて、結局はその他大勢の流言蜚語に繋がるようなリーダーの動向というのは致し方なかったと思う。しかし、一方で、薬が必要な時に、生命も立場も省みず協力をする次兄、大移動でリーダー不在の際、長兄に変わって大英断を下す三男、ドイツ軍の襲撃情報を手に入れる四男などが、「兄弟」という絆の括りで、この大集団を引き連れるというところは、もしこれが事実より誇大な表現であったとしても、この作品の主題であり、過去に製作されたナチス関連作品とは一線を画する価値のある部分である。

物語や、その背景よりも、戦禍に生きた兄弟の絆と、もうひとつ映画作品の興味としては、俳優陣に魅力があった。次兄のリーヴ・シュレーバーは、どうも「ニューヨークの恋人」の印象が強いが、リメーク版「オーメン」でも好演していたし、今回の役柄は今までで最高だったし、ジェイミー・ベルは「リトル・ダンサー」(最近では「ジャンパー」にも出ていたが)の印象が強かったが、今作品で十分、大人の俳優の仲間入りをした。女優陣ではリルカを演じたアレクサ・ダヴァロスが素敵。その他、アラン・コーデュナー、マーク・フォイアスタンの存在感が山椒の如くビリリと利いていて良かった。そもそもの狙いとは違ったのかも知れないが色々な発見のある作品だったが、シンドラーの名は使って欲しくなかった。


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by turtoone | 2009-02-15 13:52 | 映画(た行)