暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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ベンジャミン・バトン 数奇な人生

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ブラッド・ピット的に考えると、筆者の評価が最も高い作品は「ジョーブラックをよろしく」である。この作品が評価が高い理由はレビューを読んで頂きたいのであるが、ひとつには時間の取り方である。この作品は物凄くゆっくりと(確かに上映時間も180分と長いが・・・)、流れているが、それはブラピが演じる死神の時間軸であり、同時に一財を為すために仕事一途で人生を駆け抜けてきた男(アンソニー・ホプキンス)の人生最後の時間を丁寧に描いているからである。この「ベンジャミン~」の作品化を知った際に最初に脳裏に浮かんだのが筆者にとってジョー・ブラックだったのは、多分、この時間軸の取り方というものに同じブラピの主演作品という共通項から勝手に連想したのだと思う。所謂、筆者の一番良くない「先入観」であり、だから、期待度ランキングも第1位であった。同時に物語以外に求めたものも多く、しかしその中には、筆者の予想だにしない展開もあり、良い意味で裏切られたのは大きい。一番評価の難しい作品であることは事実で、逆に筆者にこの作品を評価するのは、「人生を逆に生きたことがない」から不可能だという言い逃れも出来るかもしれない。いずれにしても映像等の技術点など明確に評価できるという物と、人生を逆に生きるという作品のコンセプトのように評価をしにくいものが混在しているのも事実。やはり、これは、ジョーブラックのような存在に評点してもらうのしか無いと思う。

原作は読んだことがないから分からないが、物語の発想として80歳の人間が0歳児の脳細胞を持っているという設定は、ブラピ曰くの「演じるのも難しい」が、作品として考えた方も、随分面倒臭い設定にしたなと、年代が変わるたびにそう思った。しかしその一方で、映像的に若くなっていく姿というのに殆ど違和感を感じなかった点は、ブラッド・ピットという「ブランド」である。このブラッド・ピットの最近の姿を知っているということ、「セブン」の若かりし頃を知っているということ、更には「テルマ&ルイーズ」や「リバー・ラン・スルー・イット」の初々しい時代を鑑賞者の殆どが「認知している」ということが、逆効果としてこの若返りの過程を大変興味深く追っていかれるという点にある。そこにはひとつ、「人は年老いた自分を想像することは好きではないが、若かりし自分を振り返ることは好きである」という人間共通の法則が存在している。若かりし頃の自分を振り返る、あの頃は良かったという過去の栄光に縋ってしまうのが大部分の人間であり、だからこそ、この作品の主人公が若返ることと、ブラピという映画界の超ブランドが本来の姿に近づいていくさまをスクリーンに凝視してしまうという効果が大きかったと思う。また、同時に、その若返るベンジャミンの半生に付き合った物語を語るのが死の直前にある老婆という全体構成も、この人も同列で自分の過去を顧みるという姿が悲しみを呼ぶ一方で、最終的にベンジャミンがどうなるのか(ドンデン返しということでなく、最後を看取ったのかどうか)という結末への期待が、シーンが変わる度に増して来るところも場面設定の勝利だと思う。

そして、もうひとつ、これは人間の永遠のテーマであるかもしれない「一瞬」。日本的に言い換えれば「無常」である。人間には「確実に約束」されたものは何もない。しかし、生のあるものに死は必ずやってくる。そして、その一瞬を大事にすること、日本人精神で言えば「一期一会」である。これが美しいのだと言っている。更に、それだけでなく、ベンジャミンは「老」から始まった。ここがポイントで「老」から始まっているが「死」から始まった訳では無い。そこに、時計の逆戻しやハチドリというサブテーマが隠喩として相関しているという奥の深い脚本になっている。原作、脚本もさることながら視覚効果はそれらを見事にサポートとし、この作品をより素晴らしいものにした。筆者は視覚効果がひとつの売りであろうこの作品を単なるその興味だけに埋没させずに、原作に潜む人間観というテーマを補佐することに徹底した点で、この効果を高く評価する。老から始まろうが一生は一生で、くどい様だが、赤子の姿になって老人の病気に罹る。この辺りは鑑賞者の半数くらいは「もういいよ」という違和感を示すかもしれないが、中々どうして主張が最後まで一環していて良かったと思う。

総じてとても良い作品であった。出演者も皆良かった。ただ、父親に関してのベンジャミンの態度が、この作品考証の中で唯一違っていたのが気になった。わざとそうしたのか、それとも単に、一人間として許せなかったのか? 後々父親の財産で暮らしていた彼の生涯を考えると解せない疑問が残った。


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by turtoone | 2009-02-10 23:42 | 映画(は行)