暫く療養と入院、更に手術をしまして映画ブログは更新を怠っておりました。作品は鑑賞してますので、徐々に復帰させていただきます。今後共、よろしくおねがいします。


by turtoone
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チェ 28歳の革命

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筆者の好きな映画ジャンルはなんといっても歴史モノ、人物モノであるが、かといって然程に高評価を下した作品というのは余りない。勿論、「シンドラーのリスト」「恋におちたシェイクスピア」も人物モノではあるが、その人物がどう生きたかというストーリーではなく、背景になるものが大きい。そう考えると特A作品で人物モノって「レッズ」だけの様な気がして(「アマデウス」なんかも人物伝というよりフィクション性が高いから)、今、過去のデータをひっくり返しているところだが、エルネスト・ゲバラ・セルナに関しては、「モーターサイクル・ダイアリーズ」もさることながら、丁度、最新の検証を「歴史のミステリー」で特集していて、やはりそこでも2度にわたる南米旅行で、祖国並びに南米全域の国民生活が疲弊を極めていることが、自らを立たせるきっかけになったことは事実の様で、そういう意味では今世紀に入り、彼の評価も大分変わって来たと思う。今まではカストロ兄弟あってのゲバラという解釈が、逆にゲバラあってのキューバ革命だったと、これから特に母国アルゼンチンの歴史研究家からこの観点での歴史検証がなされ論文化されることを期待したい。しかし、そんなこともあって、やはりカンヌの様に全編を一気に観られなくて残念な鑑賞であったのも事実。

同時に今、なぜこの時期に彼なのか。この作品だけでなく、今全世界的にゲバラの存在が見直されているという。地理的、及び言語的なこともあり、どうも南米は苦手である。残念なのは特に文献が手に入らず、入っても読めないことだ。だからアジアに置き換えてみると、アジアで革命の祖と言えば、筆者が尊敬する中国人5人に入る「孫文」であるが、彼もまた実はこれまで母国中国での評価は低い(というか、最近は歴史の教科書にも載っていない筈だ)。辛亥革命は清朝を打倒したことの評価はされるものの、その後の新政府の設立には日本色の強い孫文は毛嫌いされたからだ。筆者も「日本人であるが故の視点」で孫文を英雄視しているに過ぎないのかもしれない。やはり革命の歴史がない日本人のDNAにはアジアを例にとっても分かりづらい。ゲバラに戻ると、ひとつには、フィデル・カストロが昨年、国家評議会議長を退任したことにより、カストロという人の総括が世界的にも自由に論ぜられるようになり、同時にキューバ革命の功労者としてのゲバラがクローズアップされたのであろう。また、これにはフィデルを継いだ弟のラウル・カストロへの求心力を危惧する声(ラウルには現在パーキンソン病説があり、2006年のフィデルの手術中から政権を継承しているものの、余り人前にも出ていない)があり、真の革命により建国をした世界でも数少ない功績と意思を世界に残すためには、死後40年以上も立つ、ゲバラを登場させざるを得なかったという中米なりの理由があったのだと思う。しかし、その仕掛け人はロシアかも、欧米かも、もしかしたらアメリカかもしれない。

映画作品について少し書くと、冒頭に述べたように全編を通して観たかったのは事実。これは残念のひとことに尽きる。作品自体は、前半、場面の切り替わりが多いが30分で全体構成のパターンが分かるのでストーリー展開を把握するのは比較的楽である。但し、我々は字幕で観ているから感じないが言語が何ヵ国語かあり、その切り替わりの度に、特に作品として意図しているところがあるのでは気になるところがあった。これは1回や2回の鑑賞では把握できない。ただ単に、状況に従っているだけなら良いのだが。しかし、小細工や難解な展開は殆どなく、淡々と事実を追っていて構成がしっかりして、ストレートにゲバラとその行動を伝えようとしたところは昨今の作品では珍しく評価できる。大体からそもそもが一般的に分かりにくい地域と歴史なので、それを承知してか否かは分からないが、兎に角「ゲバラ」を伝えることに徹底していたことは良く、作品構成とともにデル・トロの演技は、特別な場面こそないが、この役どころと作品の意図を良く理解しつくした演技に賞賛したい。第2部には更に期待したい。

作品中、何度か「モーターサイクル・ダイアリーズ」の河を泳ぐシーンを思い出し、ゲバラとは何でも可能にする男、そして、大義のためには自分の立場など何も気にしない男だという熱い彼の思いが伝わった。しかし、後半になる部分は、最新の研究でも意見が分かれるところである「最終的にゲバラは何をめざしたのか?」が主題になる。筆者が年頭の「2009年期待度ランキング」で第1部を高くしたのは、第2部には定説がないのと、ボリビアに何を求めたのかがそれまでのゲバラからは分からない点が余りにも多いから、正直、今このテーマで映画を作るには無理が多いと解釈したからだ。その辺りは、第1部でも大事な場面になっている「回顧インタビュー」の演出が余程上手く作用しないと難しいと思う。今月末の封切りが不安である。

全編観てから評価したいが、現時点でなら高めの評価も、前述の理由で第2部だけでは作品として成り立たせるのは難しいと思うことから、やはり4時間30分程度なら、鑑賞料金を2回分払っても良いから一気に見せて貰いたかったというのが本音である。


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by turtoone | 2009-01-12 17:17 | 映画(た行)